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遊びの中で楽しく学ぶ先進国スウェーデンの幼児教育 in Stockholm 2024.9

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スウェーデンの保育園 プレスクール
こどもの才能をひき出し個性を伸ばすためにかかせない「アトリエリスト」


今回訪問したプレスクール4施設とオープンプレスクールにはたくさんの共通点がありました。そのひとつはなんといっても「アトリエ」の存在ではないでしょうか。どの施設にも必ず素晴らしく充実したアトリエが備えられており、大人の私たちでさえ自分の中に潜んでいたクリエイティビティを刺激されワクワクするような素材や道具がたくさん用意されていて、こどもが自由に遊びながら独創性や想像力を自然に身につけられるよう配慮されています。その重要な役割を持つのが「アトリエリスト」と呼ばれる職業、園では家庭の事情に左右されることなくどの子にも同じチャンスが与えられるよう必要なものは全て園に備えられており、プロが使う道具を使ってこどもの頃からアートに親しむことができます。

アトリエにはカラフルな色合いだけでなくモノトーンやナチュラル、フェミニンなど様々なスタイルの素材が準備されています。本物のカーテンサンプルや人体解剖模型まで置かれていてびっくり。もの心ついた頃から本物に触れ五感で感じるとることが大切だと、ぬり絵はさせないと言われたことにも納得。壁や窓辺に飾られているこども達の作品はプロ顔負けのアートそのもの、絵だけでなく粘土細工やコラージュ作品など幼児がつくったとは思えないほどの出来に感動しました。こうして少しずつ自分の好きを見つけながら自信をつけていくのですね。


今回のプレスクールは街中だったり住宅地や田舎の方にあったりと様々ですが、どの園も園庭には思ったほどの遊具はなく自然を生かしたものが多い印象です。大きな木や坂や岩をそのまま残した園庭でこども達は元気に走りまわり、草花を見つけたり木の実を拾ったり虫を捕まえたり、ベンチやテーブルセットに座っておしゃべりを楽しんだりと、遊具に頼らずこども達自身が自由な発想で遊びを創造しながらコミュニケーション能力を身につけていく、そんな狙いがあるのではないかと感じました。最後に行った園は新しくサステナブルシティに生まれ変わりつつある地域にあり、傾斜地を利用した建物でプレスクールの屋上を園庭にしているというユニークな建物が2016年に表彰されたのだそう、滑り台の坂の後部はレストランに自然光を入れる窓になっていました。ここでも午前中は森にも出かけどんな天候であっても外で遊ぶのだそうです。

どの園でもとり入れている「サムリング samling 」とは、日々何度も先生とこども達が輪になって座りその日の予定やふり返りを話し合ったり、歌ったりゲームをしたり、またひとつのテーマについて話し合ったり絵本を読み聞かせたりする大切な時間、こどもたちの社会性や自分の意見を持つ力を育む為に設けられており、安心して意見を共有できる環境を提供することで社会的スキルやコミュニケーション能力を育むことを目的としています。またリズム感や協調性を養い言語能力や想像力を育むことにも大きく貢献する幼児教育の重要な一環となっているとのことです。サムリング用の丸いカーペットをたくさん目にしました。

またほとんど外国人の園児が通うプレスクールではスウェーデン語とアラビア語が使われ、絵を使って何をするかを伝えたり様々なカードや手話を用いてコミュニケーションをとっていました。遊びながら言葉や文字を学ばせることが大切で年長クラスのこどもにはまず自分の名前が書けるよう指導をし、親や友達など好きな人に手紙を書くようすすめます。書くことは自由で文字でも絵でも構いません。まずは誰に書きたいかを決めて先生と相談し、好きな色の封筒を選びマテリアルを選んで封筒に貼り付けます。その間こども達が話していることを先生が書きとめ言葉の発達を記録します。こども達は相手に喜んでもらうことで次は誰に手紙を書くという風に発展しどんどんスウェーデン語を覚えていくというのです。

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