ヨーロッパの風景europe view
やっぱり、デンマークの家が好きなんだなあ…。
Denmark & Germany 2016.6
親愛なるハンス・ウェグナー氏が生まれ育った街に会いに
人生に影響をを与えてくれたYチェア、そのお礼の気持ちを伝えるため。
私にとってハンス・ウェグナー氏は特別な存在、今から31年前この仕事に就いた日から私は朱色に塗られたYチェアに座り日々仕事をすることになりました。その不思議な形の椅子が私が生れるより随分前からつくり続けられていると知り、そのデザイン力と座り心地に感動したことが今も忘れられません。私もいつか陳腐化しないデザイン力を身につけ、クライアント様に時間が経っても飽きず愛着をもち続けてもらえるような仕事をしなければと心に誓いました。今思うと何ておこがましいことをと思いますが、若気の至りとでもいうのでしょうか。笑ってやって下さい。私自身まだまだ道半ばではありますが、いつも私の中でその時の誓いが戒めとなっていることは確かです。
そんな親愛なるハンス・ウェグナー氏が生まれ育った街をようやく訪れることができました。ドイツとの国境に近い小さな街トゥナーで1902年に建てられた給水塔を改修しハンス・ウェグナー美術館が開館されたのは1995年のこと、幼い頃からずっと見上げてきた大きな給水塔が自分のミュージアムになるなんて80歳を過ぎた彼はどれだけ嬉しかったことでしょう。生涯で500種類以上の椅子をデザインし20世紀の北欧デザインにも大きな影響を与えたばかりか、今も尚世界中の多くの人々の暮らしの中に息づいているなんて本当に素晴らしい、正に巨匠と呼ぶにふさわしいデザイナーです。
この何層にも重なった円形の美術館に並べられた1脚1脚の椅子を眺めながら、時にはゆっくり座ってみたり、図面を見たりしながら、私は彼がどんな気持ちでここに立っていたのか想いを馳せていました。窓からトゥナーの美しい街並みを見下ろし子供の頃のことを思い出していたのかな・・・なんて。彼の写真に向かって心の中でしっかりお礼の気持ちも伝えられました。(ここでは展示されている椅子に座ることができます。)
このミュージアムは歴史博物館と美術館も併設されていて驚くほどの充実した内容で見ごたえたっぷり。彼はこの街に大きな財産と誇りをもたらせていると感じました。私のように彼の故郷をひと目見ようと世界各地から訪れるファンは絶えないことでしょう。
閉館ぎりぎりに美術館を出た後は街中を歩くことにしました。土曜日だったので商店街のお店もほとんど閉まっていましたが、ウェグナー氏も歩いたであろう石畳の上を歩くだけでもう嬉しくて幸せなじかんでした。歩いてまわれるほどの小さなトゥナーは本当に可愛くって美しい街です。住宅地を歩いていてもふと気がつくと路地の向こうにあの給水塔が見え、何だかほっとします。また、いつかまたきっと訪れたいと思いました。
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