ヨーロッパの風景europe view
遊びの中で楽しく学ぶ先進国スウェーデンの幼児教育
in Stockholm 2024.9
妖精「森のムッレ」がこどもを大きく育てる
こどもたちと森に出かけフィーカを楽しみ共に遊んだ夢のような時間
地下鉄とバスを乗り継いで訪ねた自然豊かな住宅地の一角にある森のムッレボーイ(雨の日も晴れの日も野外就学前学校)I Ur och Skur Mulleborg は1985年に設立されたスウェーデン初の森のムッレで、現在児童35名、先生は7名の比較的コンパクトなプレスクールです。ここでは保護者が深く園の運営に関わっており、園の掃除なども交代で行い年に一度は遊具の修理等も行っています。先生が忙しい時はお手伝いもするそうですが、この日はコックさんが病気で休みだった為小さな赤ちゃんをあやしながら若いお母さんがキッチンで食事を作っていました。 ちょっと日本では考えられないですね。 まずはひと通り園舎や園庭(と言っても自然そのもの)をご案内頂いた後、年長クラスのこどもたち12名・先生2名と一緒に近くの森に出かけることに。
出発前に園の前でみんな手をつなぎ輪(サムリング)になって「おはようの唄」を歌いました。そして道中にも色々なルールやルーティンがあり、毎回そうすることで子供たちは安心して本来の遊びや好奇心に集中できるのだそうです。 目的の森に着くとまた輪になって座り先生のお話を聞きます。人形を使ってお話しをしながら子供たちに優しく質問を投げかけ元気よく答える子供たち、一緒に体を動かしながら歌を歌ったり各自持ってきたおやつを食べたりおもちゃで遊んだり、ブルーベリーやコケモモの実をとって食べたりカエルを捕まえたり走りまわったりして元気よくのびのびと遊ぶ姿に心から癒されました。 私たちもコーヒーとパン・チーズで森の中でフィーカを楽しみましたよ。 ここでは自由に遊びながらもきちんとルールを守らなければなりません。先生の目の届く決められた範囲以外には行ってはいけない。手の長さより長い枝を持たない。木を持ち帰らないなど...。 子供たちは自然の中でこれは危ないこと、してはいけないこと、そして友だちを大切にする気持ちや自然を守る心、好奇心や想像力、探究心など多くを学びながら楽しく遊び自信をつけていきます。 こうしてもの心ついた頃から自然に親しみ、雨が降ろうと雪が降ろうとどんな日にも森に出かけ自然の厳しさを身にしみ込ませることで、しっかり自分で考えて行動ができ人と環境を大切にできる心の広い大人になるのだろうなぁと感じました。
サステナブルという言葉が世界中で叫ばれ、誰ひとりとり残さないSDGsを考えた時こうした幼児教育がとても大切で、スウェーデンの国を挙げての早くからの取組みが本当に素晴らしく、またそこで働く先生や保護者が同じ方向を向き協力し合える信頼関係があってこそ成り立つのですね。「森のムッレ」に通わせる保護者には共通点があると教えてくれました。こうした野外での保育が様々な面でこどもの発育に良いことが科学的にも証明されている、そうした情報をもっていて理解できる意識の高い親御さんばかりだということです。
今ではスウェーデン国内に200施設ある「森のムッレ」、幼少期に自然の中での自由な遊びを通じて多くのことを学びながら自信をつけさせ、勉強という枠にとらわれない広い視野で本質にフォーカスした教育方針がこどもたちの個性をのばし勉強以上に大切な人としての基礎を築くことに繋がると痛感しました。今後日本で私たちにできることは何か、大変難しいことですが少しでもこの経験を活かすことができればと願います。
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