ヨーロッパの風景europe view
デンマークの人々から学んだこと
Scandinavia 2011.2
光と共に暮らす
VELUX本社を訪ね、光が人の生活にいかに大切であるかを学びました。
コペンハーゲンから北へ40kmほど離れたのどかなロケーションにあるベルックス本社、これまで訪れるチャンスに恵まれませんでしたが、今回日本ベルックスのO氏にご提案を頂き初めて訪問させて頂くことができました。25年前にベルックス社の天窓に出逢って以来、その質とデザイン性・信頼性の高さにこれまで他の天窓を考えたことは一度もありませんでした。何だかずっと憧れていた人にようやく会えるようなそんな嬉しい気持ちで伺いました。
迎えて下さったのはヘンリックさんとマリアンヌさん、まずは敷地の入り口付近に建つ『CO2ニュートラルハウジング』の説明を受けました。天窓とソーラー発電パネル、そしてソーラー湯沸かしパネルを屋根に設けローエナジーハウス(モデル)を実現、壁面に取り付けられた天窓には光センサーで外部オーニングが自動で開閉できるシステムも搭載しています。この建物はプレハブでビルの屋上に建てるペントハウスとして考えられたのだそうです。
ヨーロッパ各地でベルックスが関わっている多くのエコプロジェクトについての説明も受けました。2009年10月にデンマーク・オーフスに建つプラスエナジーハウスを見学しましたが、それ以外にも各地で同じようなプロジェクトが進められており、実際に一般の家族が生活をしながら様々なデータを集めているとのことです。
デンマークでは30年ほど前から古い家のリノベーション(特に断熱工事)に力を注いできました。その中で特に重要なことは、1:トータルコストを考えた上でのエコであること、2:人に良いきれいな空気と明るさを確保すること、3:環境設計や周囲への配慮、の3点だと言います。ベルックスの天窓はそういう意味で現在の優秀なデンマーク住宅確立に大きな役割を遂げてきました。そう言えば18世紀頃に建てられた古い住宅を改築した天窓のある素敵な家をデンマーク各地でたくさん目にすることができます。
時代は進み、『スマートハウス』と呼ばれる賢い家をつくることも可能になってきました。過去5年間のデータを基に天気や風の向き、日射量などを計算して窓の開閉やカーテンの操作等を全て自動コントロールできるのだそうですが、実はこれには大きな落とし穴があり、人の気持ちを無視して作動する為に住んでいる人が手動でカーテンを閉めてしまう事なども多くうまくいかない事がわかってきました。今、新しいバージョンの開発に向けて進めているのだそうです。私自身はそれが必要だとは思いませんが、エコ先進国デンマークは今そこまで進んでいます。
その後、1963年に建てられた平屋住宅をリノベーションしている現場を見せて頂きました。工事も完成間近で若いご家族が既に住んでいらっしゃいます。この家は1980年に一度改装工事をしていますが充分な明るさを得ることはできなかったので、今回屋根にベルックスの天窓を取り付けました。キッチン、リビング、バスルームはとっても明るくなり、中央の廊下も全く窓がありませんが天窓からの光により昼間は照明を一切つけていなくても明るく過ごせるようになりました。
外は曇り空で時折小雨が降っていましたが、部屋の中は一つも照明器具を付けていないのにとっても明るくて驚きました。その家のご主人は「天窓は明るさ、風通し、換気、プライバシーなど色々な面で素晴らしいエコアイテムです。そればかりか、人の気持ちにも大きな影響を与えます。長く暗い冬を過ごすデンマークの人々にとってはなくてはならない必需品です。」と話して下さいました。その周辺では1960年代に建てられた住宅の屋根のリノベーションが数多く進められていました。
住宅を見せて頂いた後少し車を走らせヨァン・ウィッツォンが設計したバウスベア教会(1976年 コペンハーゲン)へ連れて行って頂きました。私にとってここも初めて!ウィッツォン氏はあのシドニー・オペラハウスで有名な建築家です。内部天井は雲を表現しているそうでいかにもデンマークらしいデザインです。ここでも自然光がたくさん取り入れられています。低コストで建てられたこの教会ですが中に入ってびっくり、とっても素晴らしい私好みの教会でした。
最後に私の知人の家を紹介します。目の前に海が広がる素晴らしいロケーションに建つこの家は20年前にご両親が建てた住宅を昨年リノベーションしたもの、コア部分に階段室を設けその上部は自然光が入る設計でとても斬新なデザイン、構造やサッシ(VELFAC)外観は当初のままにしてインテリアのみを改装しました。ディーネセンのフローリング(幅45cm)やソネボーキッチン、フリッツハンセンの家具など本当に素敵でうっとりします。
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