ヨーロッパの風景europe view
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in Denmark 2014.9
デンマーク王立建築大学 & 学生寮
若い頃憧れていた王立建築大学でのプレゼンテーションに心が震えました。
念願だった、デンマーク 王立大学の学生寮を見学させて頂きました。 しかも、ここを設計された女性建築家 Lene Tranberg さんの案内で・・・。中庭での写真は中央が彼女、手前はこの大学で建築を教えているアレックスさん、そして向こうはこの大学で建築を学んでいる学生さんです。
この学生寮の設計はフリーコンペという中で、見事彼女が勝ち取りました。円形の中には美しい緑のパティオがあり、この中心に向かってコミュニティーが集まり建物の内側には共有スペース、そして外側にはプライベートルームが配されています。共有スペースにはLDK の他テラスやミュージックルーム、シアタールームやパーティールーム、コンピュータールームや洗濯室等・・・、様々な部屋があり、学生は今日あの部屋で何をやっているということがすぐにわかり、より人との繋がりが持てるように考えられています。
この建物のコンセプトは ” 和(輪)” 、初めて一人暮らしをする学生が寂しくないよう、孤立せずに多くの人と出会いコミュニケーション力をしっかり養い、社会に出る準備としての役割も担っています。
中に入ること等通常は許されない貴重な体験をさせて頂きました。1階共有スペースにあるロッカー、なんて可愛いのでしょう!!こうすることで見つけやすいという優しい機能性も持ちあわせています。ここにはカラフルな洗濯機も置かれていて、学生さん達の出逢いの場ともなっているのだそうです。この寮には360室あり、その内10%は外国人が入居できるようになっています。それぞれワンフロアーは5ブロックに別れていて(2F~7F)、1ブロックは12室からなりファミリーのように身近な存在となっていて、それ以外のブロックは友人関係のような、社会構造と同じ仕組みになっています。もちろん男女平等で、寮は社会を映す鏡のようだと彼女は話してくれました。1ブロックにはできるだけ色々な人を混ぜ、カップル用の広い部屋もあります。ここで結婚式を挙げるカップルもいるのだそうです。 素敵ですね!
建物内からは美しい緑のパティオが見えます。長くここに住み大学生活を満喫している彼のお部屋を案内して頂きました。建築を学んでいる彼 (26才) の本棚には専門書がたくさん並び、収納もたっぷりでバスルーム完備の快適な寮生活を垣間みることができました。
この建物を見せて頂きながら感じたことは、設計者の愛に溢れているということ、全てが人を向いて設計がなされ、住む人の心に寄り添い、その先の思想的なことにまでを考えた責任のある設計、そんな彼女の包容力のようなものを強く感じました。私たち設計するものにとって何よりも大切なことを再確認させて頂くことができました。そして、構造や造る上での作業性・効率性が大変よく考えられていて、運営面やメンテナンス、ここちよく暮らせる為の素材選びや納め方に至るまで、本当に勉強になりました。
さて、今回の出張の中で一番ドキドキしていたデンマーク王立建築大学でのプレゼンテーションの日がやってきました。先の学生寮を見学させて頂いた翌日に建築大学を訪問し、約30人の建築を学ぶ学生たちを前に日本における建築やデンマーク住宅についてDFHメンバーそれぞれが写真などを見せながらプレゼンさせて頂きました。私は長年日本でデンマーク住宅の家づくりにかかわってきた理由や、今の日本の住宅事情、ヨゴホームズがこれから向かっていきたい方向性などを話しました。こんな経験はこれまでなかったので、(きっとこれが最初で最後。。)本当にドキドキし心臓が動いているのが洋服の上から見えたほどです。(笑)
日本に行ったことがありますか?という質問にこの若さで多くの学生たちが手を挙げたことにはびっくり・・・。日本の建築にとても関心を持っている様子がうかがえました。こちらでは若いうちから外国へ行って様々なことを経験したり、実際に見ることがとても大事だとみんなが思っていて行動を起こします。また、デンマークでは高校を卒業した後2年ほどは実際に働いてみて自分の向き不向きや本当にしたいことを見つけてから大学に入る人がほとんど、もし大学に入って勉強し始めたとしても、やっぱり別のことがしたいと思えばまた違う大学に入りなおす、もちろん税金は高いけれど学費はかからない。美しく環境の整った快適な学び舎で自分の学びたいことを真剣に勉強をする。本当に素晴らしい限りです。
私たちのプレゼンの後、この大学の教授 Nicolai Bo Andersen氏から講義を受ける機会に恵まれ、彼が建築をする上で最も大切だと思っていることや、現在学生と共に取り組んでいるプロジェクトなどを紹介してもらい、それらをまとめた分厚い本まで頂きました。
この校舎は昔空軍の飛行機を造っていた建物、美しくリノベーションされ学生1250人の内180人がここで学んでいます。入って2年間は手で図面を描きしっかり身につけてからCADが与えられるそうです。昔手描きだった時代を懐かしく想い出しながら見学させて頂きました。またメイン校舎でグループワークをしている様子も見せて頂き、身近にある素材を見つけて建築を考える。というワークのようで木や紙やタイルなど、そんな素材を切ったりはったりしながら・・・、真剣な眼差しがとても印象的でした。レストランも図書館も庭も、もう どこもかもがとっても素晴らしく、こんなところで学ぶことができたらどんなに素敵でしょう。と思わずにはいられませんでした。
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